https://www.youtube.com/watch?v=Rg2iSHe2Eds
風門館では、安全性を最重視しているため、一般で言う自由組手を鍛錬手合と呼び、その強度を、全く当たらない距離で始める遠当・L0から始め、そこから、寸止め・空乱をL1とし、最終的に日本拳法道ルールをL5とするよう細かく設定している。
これは、年齢・経験値・本人の意志・稽古の目的に応じて、自由に当たりの強さの度合いを調整するためである。
風門館が、「大人のための護身教室」を名乗っているのはダテでは無い。何歳からでも護身としての稽古が始められるよう片田舎の無名道場としては、かなりシステム化されている。
今回、第7回風門祭・新種目:壮年男子変手之部も、その工夫の中で生まれた。特に、上羽丸氏が入門しなかったら、思いつかなかったと思う。
実は、この変手之部ルールは、風門館では、最も頻繁に行っている鍛錬手合L1.7。そのままなのである。
当初、面付き・胴無しで、当止めルールは、上羽丸氏や、八咫丸氏など、ボクシング経験者が、始めた組み手法だった。
私の発想にはなかったが、なるほどと思ったので、採用し、L1.7とした。このL1.7だと、50歳代でも、セミコンタクトルールの組手が出来るのだというのは、私にとって新しい発見だった。
それを、今回競技化しようと試行錯誤を重ねているのである。
50歳以上は、形で稽古すれば十分だろうというのが、私の本音なのだが、50歳を過ぎても、公式戦を体験してみたいという門人の思いも分からなくはない。
安全性・実用性・年齢・経験値。
特に、50代に試合をさせて大丈夫なのか?
私の中にも、逡巡する思いはあったが、試合稽古が始まってから、上羽丸氏の生き生きした顔を見ていると、やはり、50歳以上の人にも、チャンスを与えるべきだと確信した。
あくまでも、安全性に配慮したルールだ。だが、マスクのみで、胴をつけないから、当て止めとは言え、甘くは無い。
当て止めだから、敢えて、胴無しにしたのだが、やはり、緊張感は半端ない。
しかし、51歳で、こんなに動ける人がいるのかとびっくりしている。風門館は、40歳以上の壮年部が中心だが、それでも、全員、上羽丸6級には、畏敬の念を抱いている。
私は、41歳で現役を引退した。その頃は、高年齢現役として、けっこう我々の界隈では有名だった。しかも、40歳の時には、一年間に4本トーナメントに上がるという経験を持っている。
しかし、50歳で、ここまで、動けたかというと、全くかなわないと思う。
風門祭とか、地方のミニ・ミニ大会だから、世の中の人には、存在していること自体知られていないが、いつもの稽古仲間から、Heroとして、尊敬される。
それで、いいのではないだろうか?
市井に暮らす凡夫が、関係者含めて、15人程度の狭い世界の中であっても、男として評価される。
私は、それで、十分だと思う。
サムライは、サムライから、仲間として認められて、初めてサムライになるのだと言うのが私の持論だ。
小さな世界のHeroであっても、彼は、間違いなくHeroである。
上羽丸6級。9月から、毎週二本。変手試合稽古を積み重ねている。51歳の体には、当止めとは言え、かなり過酷な行だ。
その奮闘を讃えて、私の好きな、ボニー・タイラーのHeroを贈りたい。
変手試合稽古の動画を流しながら、曲の動画をクリックするとBGMになります。試して見てください。スマホでも大丈夫です。