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福光流柔術拳法 縁起 その3 残すべきは何か?小太刀・バチ術について。
風門館の前身は、日本拳法道連盟風門同志会である。この期間だけでも、20年ほどの期間があり、多くの門人を育てた。しかし、この間、教えた門人には、古術のことなど一切話していないし、存在そのものを隠していた。
日本拳法道・グローブ空手・硬式空手・アマKB・真武館と私自身が現役の選手だったので、ルールの中で、いかに生き延び、生還するか。どうすれば勝てるのか?そういうことだけ考えて暮らしていた。
従って、日本拳法道に入門して以来、得物の稽古そのものを完全に捨てていた。徒手総合他流試合・異種格闘技戦で頭の中は、一杯で有り、得物の稽古の必要性も感じなかった。
しかし、転機が訪れた。私は、46歳の時に、非常に特殊な腰椎狭窄症となり、手術をするはめになった。1年間、腰を捻ること自体禁止され、形稽古も無理だろうと思っていた。手術は成功したとは言え、どこかのブログに書かれているそうだが、確かに、錆び付いた体となり、昔の栄光にすがって生きるだけの人間に成りはてた。
この弱った体で、万が一の際、どうやって自分を守れば良いのか?その時、思いついたのが、そうだ俺にはまだ古術のバチ術があるということだった。
その辺りから、日本拳法道を主軸にしながら、得物の稽古もするようになった。その時の同志会時代最後の門人が、現<木霊丸師範と千手丸師範補>の二人である。
その二人と相談して、日本拳法道と鎌倉古流豊前伝福光派古術の両流併伝で、私の理想とする凡夫のための護身武芸を研究する団体として、現在の風門館を起ち上げた。それが、2008年の頃だっただろうか?
それ以降の門人には、拳法と古術福光派の両流を教伝している。
前回、私の年齢と今の門人の希望からすると古術の手業の80%は失伝するだろうと書いた。となると、優先的に何を残すかを選択せざるを得ない。
素手体術の方は、組討・当身・腰取・掻取の4法の内、日本拳法道ルールで、使えるものを優先的に残しているので、初伝である花手の一部は生き残るだろう。
また、立関節技である取手と小太刀類は護身用として現在、教伝しているので、これも、初伝程度は残るだろう。
特に、小太刀はできうる限り残したい。小太刀はそのままバチ術として使える。古術のバチとは鉄バチであり、江戸時代護身用として使用していた。
これが現代社会の護身用として考えると最も効率が良い。そう、警棒術として使えるのだ。
徒手の乱取りは、日本拳法道ルールで行い、その他は、風門館護身体術として教えれば、私のイメージする護身実用に近づくと考えたのである。
そうして、出来上がってみると、警察の逮捕術にかなり近いものになることが分かった。意図したわけではないが、結果としてそうなるのは必然なのかとも思った。
また、日本拳法道と古術の小太刀を稽古すると自衛隊の日本拳法+短剣道にも限りなく近くなる。
実用を追うと最終的には、似たようなものになるということなんだろうと私は感じている。
現在、66歳の私に後どれほどの時間が残されているのか分からないが、古術の厳格な教伝法は、もはや不可能である。
後は、ランダムにその場、その場で一手でも多く教伝し、その後、現在の門人達が研究を進めれば良いと考えている。
となると、それは、もはや昔日の鎌倉風流伝古芸豊前福光派古術とは無縁なものになる可能性もある。
私にとって、古術でもないものが鎌倉古流豊前伝福光派を冠するのは違うと言う思いが強い。
従って、であるならば、いっそのこと新流を立てようと決断した次第である。
名称には、全伝とはいかないまでも、豊前福光党の編み出した技が残ることに間違いはないので、福光流柔術拳法として後世に残そうと思うに到った。