風門館では、外の大会に選手を出すとき、必ず、すっぽんを食べる出陣式を行う。
この風習は、武道系の人からでも、よほどの奇習に思われてるいるようだが、無論、古術由来の儀式の一つである。
昔、古術の相伝最終行法は、<真剣手合十人取り>だった。その際、スッポンを食べ、その精を頂くことで、無事の生還を願ったことに始まる。
鶴は千年・亀は万年にちなんで、まずは、無事の生還を祈ること。また、スッポンは一度噛みつくと雷が鳴るまで話さないという俗説から、勝負に対する執着心・生き残ることへの執着心を頂くという二つが目的である。
私は、古術由来の、こういう古俗な風習が好きなので、未だに、風門に残している。
一見、奇態に見えるが、考えてみれば、九州豊前は、スッポン料理の店が多い。と言うことは、昔から、スッポンを比較的食べる風習があったのではないかと思う。
そういう豊前人の民俗的文化が古術の中に実は生き残っているのではないかと考えたりする。
こういうことを考えるのも風門の良さなのである。
スッポンの生き血を焼酎で割って飲む。文字通り血盟。
実は、その血盟の儀の意義の方が大きかったのかも知れない。