日本拳法道連盟・豊前福光派古術連盟 風門館公式ブログ

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豊前福光派古術 得物第1法 元手 脇勝:1本目 刺(さし) 初手:九瑠璃。田川郡福智町武道館。令和4年6月19日。 

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豊前福光派古術 得物第1法 元手 脇勝:1本目 刺(さし) 初手:九瑠璃。田川郡福智町武道館。令和4年6月19日。 

 

古術の得物芸法の最初に学ぶ手。この手の肝要なところは、まず、古術の本質とは何かを形で示すことにある。詳細を書くと長くなるが、これは、相手と差し違える覚悟を教える形である。

 

万が一の家守の芸として、何が重要かというと男系の子孫を残すことが最優先であった。そのためには、最悪の場合、年寄りから、差し違えていく。そういう、壮絶な教育をこの形を通して、幾度となく聞き、いわば、洗脳されていくのである。

 

今の時代に、必要かどうかは人によるだろうが、祖先の決死の覚悟が、この形を通してひしひしと伝わってくる。

 

武家の腹切りとは、また違う覚悟の作り方を学ぶのだと言えるだろう。

 

技術的な面を解説しよう。前後の敵を想定しているので、向きを変えるた時に、いかにバランスを崩さないかそこが一番重要である。

 

現在、私が引き継いでいる古術は、近代古術と言って、12代目:猪之吉さんが、幕末、北部九州で行われた4度の野戦体験を元に、古伝を再構築したものである。

 

甲冑武術がベースだったが、幕末の銃砲火の中をくぐり抜けながらの野戦白兵戦用に再構築されたために、多対多での、生き残り方を重視ししている。

 

一般の古流とは発想が多々違うのも所以あってのことである。

 

前を刺し、背後に迫る敵を斬るとなると一番重要なことは体捌きである。

 

前後に振り返ることは簡単のように見えるが、刺したのち、振り返るとバランスを崩しやすい。実際にやってみると容易では無いことがすぐに分かる。特に太刀を持って振りかぶりつつ背後に向かうとなかなか、バランスを崩す。つまり、実戦ならその時点で死んでいる可能性が高い。

 

従って、古術では、この最初の1手で、徹底的に、前後を斬る体捌きを訓練する。

 

思うに、武術というのは、その時代なりの環境が、必然的にそれに応じた技術を生むのだと私は考えている。

 

従って、一つの流儀を学ぶときに、その流儀の根本思想・想定する時代環境とは何かを知らなければならない。

 

時代環境とは、現代格闘技言えば、ルールに当たるだろう。KBのチャンピンが、MMAでは負けるように、また、MMAの選手が、KBルールでは負けるように、そのルールに特化した技術が無いと生き残れない。

 

流祖以来のという枕詞も大事だろうが、甲冑が用をなさない、幕末の白兵戦で、生き残るためには、流祖以来のでは、通用しなくなったことは言うまでも無い。

 

伝統芸能として生き延びるのか、あくまでも家守の芸として生き延びようとするのか。

 

我々、古術者は、開祖・明正公以来、綿々として家守の芸として<福光の手>を守り続けてきた。

 

理があれば、変わることを恐れない。それが、我が流祖以来の精神である。

 

追記:刺した後、振りかぶるのは、後方の敵を斬ると言うこともあるが、刺し損なった場合。今度は背後となる最初の敵に内脈を斬りつつ背後の敵にあたるのである。

 

文章で説明しようとすると、大変長くなるので、分からない場合は、電話などで連絡してもらえれば、追加の動画を送ります。