令和2年11月14日。土曜。午前の部。霧雨。香春町風門館本部道場。
行者:木霊丸氏
稽古内容:得物護身
豊前福光派古術得物第一法:元手。変手勝
1本目 一文字 初手:一文字切先、真名手:一文字柄打、変化:蹴足・釣鐘・膝頭
2本目 叩 初手:叩素首、真名手:楔返、変化:蔦絡
来週、日曜日に行われる第6回風門祭に備えて、最後の稽古。
風門館得物芸法コースは、福光流の太刀術を中心に稽古するクラスである。
従って、その稽古は、形稽古を専らとし、乱稽古などはしない。
ゆるゆると、自然の移ろいを眺めながら、適度な汗をかく程度の稽古で、健康法だと思ってやっている。
元々、日本拳法道を引退した者のために、設けたコースなので、特に、宣伝とかはしていないが、意に反して、日本5大捏造流儀として、福光流の方が名を知られるという、妙な具合になってしまい、苦笑せざるを得ない。
風門館はネット上で活発に宣伝しているが、欲しいのは、日本拳法道の入門者であって、古術の門人は、基本的には、私の元で、日本拳法道の黒帯を取った者だけに限定している。(例外もある。)
さて、得物芸法コースと言っても、私と木霊丸氏の二人しかいないが、年に一度、風門祭の折に、その一年の締めくくりとして演武を行うことにししている。
そこで、動画を撮り、気の長いデジタル伝書作りの一環としているわけである。動画の再生回数も、100も超えれば、いいところなんだが、世間に見せるとなると緊張する。
いつも、失敗だらけなのだが、それが、また反省点になってよい。移ろいゆく自然とともに、花鳥風月を眺めながら稽古するのは良いのだが、反面、緊張感がなくなるという弊害がある。
それを防ぐのが、風門祭における演武となっているわけである。年に一度の緊張感のために、やはり、普段の稽古も締まる。
武道は、武術をもっての行で有り、道である。武には、やはり、緊張感がいるから、我々二人にとっては、風門祭は、貴重な舞台となっている。
そういう、緊張感を保ちながらの稽古もまた良い。
折しも、香春岳一の岳西方大岩壁も紅葉している。字福光に坐す貴船神社の大銀杏も色づいてきた。これを以て、「福光の庭いらず。」と称していた。
自然の中で、梅木刀が木霊する。このおかげで生きていられる。この手を守り育ててくれた祖霊と天神地祇に感謝しながら、まさに悠々自適の境地である。