秋月流柔術。健在。「教えを受けし者たち」 田川郡福智町武道館。2020・10・11
https://www.youtube.com/watch?v=wZCSm_Isi6g&t=3s
「百聞は一見に如かず」と言う。武道・武術の場合。理論の上の話しより、目の前で、実際に実践する先達を見ることの影響は大きい。
防具付きとは言え、面当て止めのレベル2とは言え、57歳の先達が、目の前で、殺気を放ってくる瞬間を実際に味わったこと。
今年47歳の千木丸氏にとっても、大きな経験値となったことだろう。
こういう荒行を、57歳までやれるのだという可能性を現実に体験したことの意味は大きい。
ただし、風門自体は、基本。40歳以上の人間に、面打ち抜きは奨めていない。
脳へのダメージ・頸椎への負担。また、胴をつけていても、フルコンタクトで蹴り込み、打ち抜くから、やはり、内臓への震動の負担は、考えざるを得ない。
その一方で、防具付きでも、フルガチ・打ち抜きは、どれほどの物か知ってもらいたいという気持ちもある。難しいところである。
痛みを知らない人間は、机上の空論に走りやすい。日本拳法道のようなKO。OKの総合ルールは、防具を着けていてもいつどんな事故が起きるか分からない。し、現実に見てきた。
また、日本拳法道のような弱小団体の場合。恐ろしいことに、試合は一度だけ。組み手はろくにしない。技はないが、世渡りはうまいで、道場長になるというケースも起こりうる。
そして、そういう人間が、リスクを知らず。門人を大会に出したがったりする。
これが、怖い。
風門は、40以上の人間でも、2段までは、何度かフルガチを体験させる。世の中のすごい人たちから見れば、大袈裟なと言われるだろうが、我々のような、凡人にとって、40過ぎてから、入門し、防具を着けて安全性を図っているとは言え、フルガチは、怖い。
もちろん、無理はさせない。時間をかけ、ゆっくり、ディフェンスのレベルに合わせて、やる。
千木丸氏も、今、それに向けて、徐々にレベルを上げている最中である。
その時。宗範との、この最初で、最後の手合が、生涯の思い出となることだろう。
L2とは言え、あの秋月流の宮崎先生と立ち会ったのだ。と同時に、無理をする必要も無いが、目の前で、57歳のおやじが、フルスイングで打ちかかってくる恐怖は、年齢の壁を意識せざるを得ない40代に、間違いなく可能性という扉も開いたことだろう。
風門は、無理せず、怪我無く。無駄なくを追求して、稽古している。と同時に、57歳まで動けるという事実を知ることもまた大いなる遺産である。
宗範が、この1年半。風門に残した足跡は大きい。その残した種が、この北筑を流れる大河。遠賀川水系上流域。英彦山川・中元寺川流域で、花を咲かせるかも知れない。
私は受け継がれる物語が好きだ。秋月流の荒ぶる魂が、風門を刺激し、いささかでも受け継がれることは、武道として活動する以上、はずせない要素だ。
真に、多くの人との武縁で、風門は生かされている。こういう時、武道をしていて良かったと感じる次第である。