まさか、この歌がこういうカタチで蘇るとは、世の中は、常に恐ろしい。この歌が流行っていた頃。俺は確か大学の3年だったような気がする。地方公立大だから、さほどの学歴でも無いが、では、簡単かというと学費が当時、国立より安いのだけが自慢の大学だから、それなりのレベルはあったと思う。
苦労して、受験勉強して、挙げ句の果てが、まともな就職がない。
卒業した先輩が、実家のみかんを路上で売ってる姿を見るにつけ、絶望と虚無にひたされていた。
意味も無く、ディスコで毎晩踊っていた頃があると言えば、今の俺しか知らない人間からすると信じられないみたいだが、あの頃の絶望感は今でも忘れられない。
それが、不思議なことに、俺が卒業する年、いきなり景気が回復して、同級生の大半が、一部上場企業に行くか、公務員になった。
俺でさえ、NECから、直接声がかかったくらいだから、個人の努力も大切だが、一番恐ろしいのは時流だと思い知らされた。
結局、株をやるようになった原体験はそこにあるような気がする。
何にせよ。この景気の良い曲は、俺には、あの頃の絶望と虚無を蘇らせる苦い曲だ。
あの、路上でみかんを売っていた先輩はその後、どうなったんだろうか?ふと、そういう風景が思い出される。