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武道は、ある意味、マラソンに似ている部分がある。ゴールまで、後1mile。
このゴールが、見える地点の最後の距離が、一番苦しい。
過去、850人ほど指導してきたが、茶帯まで来て辞めるパターンが、けっこう多くて、残念でならなかった。
あと少しなのだが、茶帯を取ってから燃え尽きる部分があるようだ。
風門館の稽古の95%は、基本・形・技の受け返しだから、本当に、楽しく稽古できる。私自身が、乱取り稽古が嫌いな方だったので、あんまり、無理をさせないようにしている。
しかし、一方で、実際の日本拳法道は、アマチュアとしては、かなりえげつないルールであることも、事実だ。
継続性・安全性を重視しながら、しかし、あんまり日本拳法道の黒帯をなめてもらっては困るという思いとが入り混ざり、複雑な気分で、指導に当たっている。
千木丸氏は、46歳で入門。その直後から、コロナ騒動で、何度も、休館を繰り返したので、本当に大変な時期に入門したと思う。
また、彼が、入門した頃は、黒帯と他流からの出稽古組しかいなくて、毎週、激しい組み手祭りの最中だったから、せっかく入ったのにこれでは、続かないだろうなと思っていた。
その乱世の中をよくくぐり抜けてきた。いよいよ、黒帯まで、あと一月となった。表題には、49歳と書いているが、もしかするともう50歳になっているかも知れない。
防具付きとは言え、レベル2は、かなりハードだ。面当て止め、他フルコンタクトだが、面も実際には、けっこうガツンと来るので、痛い。
概ね、この痛みが嫌で、辞めていくと言うのが実情だ。
いつも書いているように、日本拳法道の黒帯は、根気力さえあれば、誰でも取れるので、そこまで、ハードルが高いということはない。しかし、実際には、黒帯直前の
<Last one mile>がもたなくて多くの人間が辞めて行った。
稽古は、そこまできつくないのだが、結局、最後に、ライトスパーをする。そのためには、前日の土曜日、夜更かしが出来ない。また、面着きでも、頭を打つ競技は、基本、アルコ-ル厳禁である。
普段の仕事がきついのに、土曜の夜に、飲めないと言うのは、社会人に取って、厳しい。
それを三年やらないと、黒帯が取れない。結局、<修身>ができない人間には、黒帯が取れないようになっている。
そこらあたりが、日本拳法道の難しいところだろうと思う。特に、40代後半の人間にとって、黒帯を取るための3年間は、厳しい。
これが、50代になると、審査も寸止めの空乱で受験できるので、そこまで深刻では無いのだが、40代後半は、当たりはけっこうハードだし、体は限界に近いしで、一番難しい年代かも知れない。
しかし、努力の甲斐あって、いい直突きを撃つようになった。この日も、右の面突きを二本、クリーンヒットさせた、この組手で、初段は十分なのだが、マラソンと同じなので、出来具合だけでは、初段は取れない。
この厳しさを、後一月続けなければ、允可が出ない。そこが、一番苦しいところだ。
ゴールが、もう見えている。Last one mile。最後まで走り抜けきれるかどうか。
実は、そこが黒帯の価値なのである。技能・バランス・根気力、そういう総合的なものが審査され、允可が決まる。
9月に、千木丸氏の黒帯を締めた姿をUPしたいと願いながら、最後の追い込みをかけている。
風門館事務局。0947・32・3550。代表福光まで。