日本拳法道連盟・豊前福光派古術連盟 風門館公式ブログ

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風門館徒然。魔坂。得物護身。令和3年11月6日。九州豊前香春福光谷風門館本部道場。

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令和3年11月6日。土曜日。午前の部。曇り。風門館本部道場。

行者:常磐丸氏。

稽古内容:得物護身。

棒振り5法。振り棒・一つ太刀・二つ太刀・四つ太刀・陰陽剣

素振り足12法。

第1法・迎足、第2法・踊足、第3法・雀足、第4法・舞足、第5法・歩足、

第6法・追足、第7法・小走、第8法・刺足

豊前福光派古術得物第1法・元手(太刀術)

脇勝(初伝)

1本目:刺し、2本目:初花、3本目:肩車、4本目:風車、5本目:置車、6本目:盾車

変手稽古。

 

さすがに、剣道二段は、伊達では無い。まだ、3週目にも関わらず、脇勝の6本目までいった。格段の早さである。

 

しかし、剣道と同じ動きの部分は、うまいと思わせるが、剣道に無い部分になると、そこは、やはり素人。逆に、現代剣道と古術の元手の違いが、くっきりと明瞭になって、私としては面白い部分がある。

 

ところで、本日の稽古にて、魔坂が起こった。油断大敵と言うが、重い棒太刀なら、私の右手の指三本は、粉砕骨折となっているところだ。反省しきり。

 

形稽古と言っても、何が起きるか分からない。だから、常に真剣勝負のつもりで稽古せよと言いながら、その当人である私が、うかつな油断をしてしまうから、まだまだ、御道の修行は果てが無い。

 

自省を込めて書くが、形稽古と言っても、古術の場合。本来は刃引きもしくは、重い棒太刀を使う。昔は、琵琶の手製の棒太刀を使って稽古していたのだが、指の骨折が多いため、初心の内は、真竹や怪我をしにくい梅木刀(ぼくと)を使うのが習わしだった。

 

本日も梅木刀を使って稽古していたのだが、古術の舞足の理合いを示すために、私が薙ぎ鎌で、常磐丸氏は梅木刀。で、真っ向を撃つように言ったら、何をどのように解釈したのか突然、軌跡を変え、薙ぎ鎌にて、真っ向を防がんとする形の私の右小手を撃ってきた。

 

梅木刀だから、痛い。で済んだが、これが、剣道の素振り用の重い木刀なら、指三本粉砕骨折で、今頃は、病院だろう。

 

形稽古は、お互いの信頼関係が無いと成立しない。素面・素籠手、刃引きでの稽古だから、下手な人間と稽古するとこちらが怪我をする。

 

長いこと、木霊丸氏との稽古しかしていないので、常磐丸氏に対して、油断がありすぎた。常磐丸氏が、素人なら私も十分用心しただろうが、私の下で日本拳法道初段を取り、さらに、剣道二段という経歴に、つい信頼を置いてしまったのが、魔坂の始まりだった。

 

彼は、常々、相手によかれと思って、指示通りのことをしない。しかも、悪意の無い人間だから、つい相手を、油断させるという名人芸を持っている。それが、事故に繋がる。

 

しかし、いくら途中で軌跡を変えられたからと言って、無様に籠手を撃たれると言うのは情けなさ過ぎる。もし、先代や先々代が生きていたら、相当叱られるところだった。本当に、二人とも、死んでて良かった。

 

ふう。しかし、真っ向を撃ってこいと言って、はいと返事をした剣道二段が、途中で軌跡を変えて籠手を撃ってくるとは。しかも、悪意がまったくないから、気走りも読めない。これは、かなり難しいと思った。

 

日々修練。日々苦い経験。新しいパターンに、適応できなかったという自戒をこめて書いているが、次の稽古からは、用心しなければならない。

 

<高名の木登り>の一節が、頭をよぎった。安心こそ、魔坂の入り口。いい勉強をさせてもらった。

 

それにしても、福光谷の秋は良い。石蕗が咲き誇る中、梅太刀の乾いた木霊が響く。時空を超えていく感じがたまらなく好きだ。

 

死ぬまで、御道の行を歩きたい。満ち足りた時間だった。天神地祇に感謝しながら、麦酒を飲んで稽古禄を書いている。これが、一番の幸せである。