風門館徒然。「初手合・47歳同士の稽古・L2」 田川郡福智町武道館。2020・10・11
https://www.youtube.com/watch?v=KJGmdgXL_nY&feature=youtu.be
令和2年10月11日。日曜日。午前の部。晴れ。田川郡福智町武道館。
稽古内容。体術総合。
1本目:腰車、2本目:鉢返、3本目:鉢落、4本目:前落。
サンドバック打ち込み稽古。30秒×5セット。受け返し5種×10回
鍛錬手合L2 2分2R
千手丸氏累計:23R
本日は、習う側一人に、教える側が3人という、千木丸氏にとっては、迷惑な展開となった。どうしても、稽古の合間合間に、各自の得意技披露と言うことになるので、まだ、基礎をやってる千木丸氏にとっては、消化不良となる展開だろうが、こういう経験も良いのでは無いかと思う。
武術では、発想法を得ると言うのは、非常に重要なことだ。習えば、簡単に出来る技でも、その発想がなければ、永遠に気がつかないというのは往々にしてある。本日。各師範方のえげつない裏技を知り、その発想を得ることは、後々、生きてくることになる。
昔日の古流儀が、門外不出としたのは、その発想法ではなかったかと思う。
さて、本日の本題。今日から、雷電師範が参加となったので、千木丸氏に、早速、L2で1本取ってもらった。続いて、宮崎宗範と1本。
47歳の千木丸氏に対して、雷電師範が、同じく47歳。宮崎宗範が57歳。ただ、キャリアが違う。
そういう数々の他流試合をこなしてきた師範方と、まだ、5級の千木丸氏が、面当て止めのL2とは言え、立ち会うだけでも、かなりの緊張を強いられたと思う。
風門では、こういう展開がけっこう多い。もちろん、安全面には配慮しているし、できレベルでの手合なのだが、初手合は緊張するものだ。しかし、その緊張感が、技芸の上達を促すという側面は捨てがたいものがある。
無理をさせず、怪我無く、しかし、へらへら笑える状態では無い稽古。
このぎりぎりの線を見誤らず設定するのが、私の最大の仕事である。
そういう経験を積みながら、成長していく姿を見るのが好きで、やっている。
L2と言うのは、動画で見れば、なんちない感じだが、入門一年未満。47歳の身で、こうやって他流儀と交流できる状態まで来ていることがすごいと思う。
世の中には、すごい人たちが一杯いるのは、知っている。しかし、我々の現実の生活の中で、46歳の終わりに入門して、まだ、1年未満の47歳が、こういうことができるかというとそういう人は少ないはずだ。
千木丸氏も、こういう経験を積み重ねながら、自信をつけ、やがて、ひとかどの侍の顔になっていく。
強い・弱いも大事だろうが、我々のような凡夫は、生きるために、働かなければならない。その上での芸法修行である。だから、当然、強くなるには、限界がある。しかし、47歳からでも、月日が立てば、自ずから侍の顔になっていく。
江戸期。福光党の理想は、十津川郷士にあった。例え、百姓であっても、十津川郷士のようでありたい。その切ない願望が、古術を今日まで生き延びさせた。
私も、十津川郷士が理想である。風門は、古術の伝統を受け継ぐ門派でもある。だから、門中も十津川郷士のようであって欲しいと思い指導している。
MMA・KB・ブラジリアンなど横文字文化全盛の今。我々のようなあり方は、流行らないことは承知しているが、私には、私の理想があってやっている。そうでなければ、31年間。場所代込みの700円での指導などは出来ない。
やりたいことをやって死ぬ。後何年、やれるのか分からないが、自分の生き方を変える気は全くない。死ぬぎりぎりまで、十津川郷士のようになりたいと願いながら死ねれば本望だと感じている。