石蕗の輝き放つ陽だまりの穏やかな時間。満ち足りた日々。福光雲母。
最近、「この部屋から東京タワーは見えない」という本を読んだが、これほど、俺と価値観の合わない人間が、東京には多いのかと思って呆れかえった。
俺の嫌いな、戦後日本の物欲万能主義の匂いがぷんぷんして、正直馬鹿かと思った。
最も、人の価値観に干渉する気は、さらさらないので、どうでもいい話しなのだが。
里山で、老いた二人が、古術と言う、世間的には、それこそ、無価値な武術に興じて、山野草を眺めながら、下手な歌を詠む。
それが、俺にとっての至上の喜びで有り、東京タワーの夜景を眺めるマンション暮らしより、谷間の石蕗の輝きを眺める方が、幸福である。
俺は、古術者で良かったと、最近、いよいよその感を強くしている。
梅木刀(ウメボクトと読む)で、カンカン、木霊する。満ち足りている。安い幸せだが、多分、得がたい贅沢かも知れない。