今から、33年前のことだ。
この33年間、のべ、800人以上を教え、そのうち、黒帯を9人育てた。日本拳法道の黒帯は、それほど、難しいものではない。誰でも、週一回、2時間稽古に来れば、3年で、初段は取れる。
しかし、現実は、800人教えて、9人だから、ざっくりいうと100人に一人しか黒帯に到達しないことになる。
大人にとって、何事かを3年間継続するということはいかに困難かということになるんだろうが、難しいところである。
日本拳法道連盟では、初段を取った一年後に二段取得となる。二段までいったのは、4人。その2年後から三段を受けられるのだが、今の所三段以上となると1人。
特段難しいことをやっている訳ではない。ただ、単に週一回2時間の稽古を続けられるかどうか。それだけなのだが、物事を継続してやるということはいかに難しいかということに尽きるだろう。
しかし、私の初心は変わらない。日本拳法道というのは、社会人が実践する競技武道として、また、護身練胆の法として、非常に、バランスがよく、かつ技法的にも組織的にも自由な気風なため、私にとっては、こんな素晴らしい流儀が、なぜ、普及しないのか理解に苦しむところである。
今のところ、直方では、T氏とS氏が、日曜の稽古とは別に、もう一日稽古したいと言うことで、不定期開催ながら、平日夜に始めたばかりである。
私としては、是非、この取り組みを続けて欲しいと願っている。
直方まで、進出すると、八幡西区はすぐである。田川の奥まったところで、稽古しているとどうしても、この過疎化の時代。普及には難しいところがある。
飯塚・八幡西区・中間などの人口密集地帯へ向けて、入り口を広げるには、直方市街は、立地的に恵まれている。
単に、武道・格闘技をやりたいのなら、今の時代、選択肢はいくらでもある。
しかし、
1軽量防具使用・ポイント&KOルール。
2アマチュアとしては、禁じ手が非常に少ない
3試合がオープン制のため、安全に他流試合ができる。
この三点を満たすものがあるかというと案外と少ないのが現況である。
この素晴らしい日本拳法道をもっと世間の人に知ってもらいたい。普及したいというのが、私の悲願である。
この動画のT氏とS氏。どちらも46歳である。T氏は、フルコンやボクシング等の経験があるが、S氏は、武道・格闘技未経験で、しかも、まだ、入会2ヶ月目である。
そんなS氏でも、マスクをつけることで、ライトスパーができる。
これが、防具付きの良さである。
世の中には、実戦が、どうのこうのという人がいるが、我々のような凡夫にとっては、非常の実戦など、生涯に一度あるかいないかであり、多くの人間は、そういう路上の実戦とは無縁に過ごすのが普通であろう。
しかし、では、皆無かというと、起きるときは起き、巻き込まれるときは巻き込まれる。
となると、その非常にどう備えれば良いのか?それが、風門館の最大の課題である。
と同時に、社会人に取っての最大の護身は、生業を失わないことである。食うことこそが最大の護身であるから、怪我は極力防ぎたい。そうなるとやはり、防具を付けての打ち込み試合が一番最良という結論に達する。あくまでも、風門館の考えではと言うことだが。
試し合いの試合は役に立たないと言う人がいるが、それは真実であることは、分かっているが、現行の法律で、非常の実戦などを何度もやっていたら、過剰防衛で、下手をしたら、生業を失うという現実をどう解決するのか。
どこで、試せば良いのか?また、どう試せば良いのか?
また、誰でも、初段が取れると言いながら、800人教えて、黒帯が9人しか出せていないのは、私の教え方が悪いからではない。
続かない理由の一番は、痛いからだ。そこに尽きる。
風門館は、30代、40代の初心者を対象に入会案内を出している。だから、稽古内容の95%は、形稽古や打ち込み稽古だから、ここで、脱落する者はほぼいない。しかし、残り5%。それも、昇級・昇段審査のためや大会出場を目指す場合は、それなりのガチを出来る範囲でやってもらう。
そのガチが痛くて、9割方が、茶帯で辞めて行く。それが、実態でもある。
世の中の過激なルールは、人に任せる。風門館のようなゆるい稽古でも、9割方、黒帯まで、続かないのだから、一般の凡夫にとっては日本拳法道で十分だと私は思っている。
過去、800人以上教えても、誰が続くのか、実は予測不可能である。この同好会もまた、そう。過去、小倉南区に何度か進出しては撤退を繰り返してきたから、簡単にいくとは思っていないが、出来ないとも言えないだろう。
33年前。田川同好会を発足するにあたって、こんなに半生を賭けるつもりなど、実はなかった。
それが、結局、ほかの全てを捨て、日本拳法道と古術の稽古をしている。
人生とは不可解で有り、物事の予測は難しいということであろう。
だから、人の世は面白いとも言えるのだと今はしみじみ思っているところである。