2008・12・21記す。
私は、38歳の時に初めて、グローブ空手のコートの上に立った。私は、ローキックのある日本拳法道、軽量防具の日本拳法道、オープントーナメントで安全に他流試合の出来る日本拳法道に魅力を感じて31歳で日本拳法道連盟木立師範の門下に入った。
ところが、入ってから3年後くらいからか?キックジムなどと、共催で、グローブ空手のトーナメントを開催するようになった。
防具の総合や硬式空手を主戦場にしてきた私も、人数が足りないため、審判としてかり出された。
正直、自分の出たことのないルールの大会の審判というのは、やりづらいので、断りたかったが、とにかく、人手不足だから、言うに言えない状況だった。
そういう中で、私の直門ではないが、同じ所属団体の若い選手のセコンドなどにつくこともあった。ある時、セコンドとして、必要な指示を出していたら、終わってから、
<ふん。自分は出たことないくせに!>と小さな声で言われた。負け試合の後で、悔し紛れに出たんだろうが、私は激怒した。
<何が。グローブが怖いか?OH!来年は俺も出ちゃるわい。その代わり、きさんも。来年も出ろよ!>
と、他にも、いろいろな、いきさつなどがあって、結局、気がついたら、こうやって、グローブ空手のコートの上に立っていた。
で、例の彼は、当然の如く辞めていた。
意地と面子で出たが、実を言うと、私は弱視に近い強度近視で、コンタクトをしないと、視力は、0.02くらいしかない。
打撃系の競技で目が悪いというのは、致命的なのは、関係者なら分かるだろう。この時は、使い捨てのコンタクトを使用したが、それでも、視力は0.1行かなかった。
正直、怖かったのは、確かである。初めてのルール。防具付きから、グローブ空手へと言うのは、やっぱり怖かった。出るまでは。
しかし、一度出てみると、案外、12オンスグラブ使用の、グローブ空手の方が、私には楽だった。
防具付きの総合の方が、一見安全そうに見えて、実は大きな怪我がある。こういうのも、自分で体験してみないと分からないものである。
なんで、こんなことを書いているのか?
当然、27日に他流との鍛練手合いを行う門中のために書いている。
今回、他流との鍛練手合いを行う二人は、大会経験とか無い。しかも、本格的な他流との手合いとなる。正直逃げられるかなとも思った。
普段、古術は、形稽古しかしないし、まして、稽古の大半は得物の素振りが多い。(この当時の風門は、福光流主体であった。日本拳法道の希望者がいなかったからである。それが、ようやく希望者が現れ、練習試合的なものを開くことができるようになった頃のことだと思う。2008年頃の話し。)
そんな中で、安全性を考慮して、レベル4で取るようにはしているが、かなり、恐怖でひきつっているのではないかと思う。
何でも、コロンブスの卵と同じで、初めてやることには、大きな勇気がいる。
競技武道をやっている人間からは大げさなと言われるかも知れないが、我々のように、
週一回、わずか、2時間。それも、素手体術から、得物芸法と、ランダムに形稽古のみで修練している人間にとっては、他流との手合いは、かなり緊張する。
それを、あえてやらせる。そこに、胆力が生まれる。あえて、恐怖に陥らせる。
それが、この鍛練手合いの最大の眼目である。だから、行法なのである。
しかし、二人とも逃げなかった。私は、それが嬉しい。表題は、小さな勇気としている。それは、競技武道から見れば、大げさなと笑われるのを知っているからだ。
しかし、私は知っている。今の、二人にとっては、それが大きな勇気であることを。